*おきらく求菩提山に登る*

 ◆ 修験道を現在に伝える霊峰 ◆

<鳥居畑付近から見た求菩提山>

    9月に九州国立博物館の『阿修羅展』へ行った時、常設展示で求菩提山で見つかったという『銅版
   法華経』(国宝)を見ました。経文が細かに掘り込まれたその銅版に痛く感動し、「この様な素晴らしい
   ものが納められていた求菩提山とはいったいどんな山なのだろう。」 以来ずっと気になっていました。
   そして11月、念願叶ってようやく求菩提山へ。県道32号線側にある公共駐車場から往路は表参道、
   復路は『銅版法華経』が発見された普賢窟がある『五窟巡りコース』を辿ることにしました。
    その昔修験道が盛んだった求菩提山は鳥居畑から見ると中腹がコブ状に突き出ていて、ちょっと
   異様な山容をしています。それがいかにも『神様の山』っぽい。
    県道32号線をしばらく上り『求菩提山入口』より入山。求菩提山にめぐらされた七重の結界のうち
   4番目の結界という『構の石門』を過ぎると、路傍に石仏が並びいかにも霊峰という雰囲気が漂って
   きます。『鬼石坊』をはじめとする数々の坊跡、苔むした石段・・・ 中でも山伏の弔いの場だったと
   いう安浄寺跡は、今でも山伏の魂がそこにあるような不思議な感覚を覚えました。これまで色んな
   修験道の山を訪れましたが、これ程山伏の存在が生々しく感じられたのは初めてです。「英彦山が
   山伏の面影を強く残す山だとしたら、求菩提山は山伏の面影がリアルに残る山だ。」そんな風に思い
   ました。
    国玉神社中宮から鬼が一夜にして造ったという『鬼の』を一気に登り、求菩提山山頂・国玉神社
   上宮に。お社の背後には神様が降りるとされる巨石の群れ・盤座(いわくら)があり、厳かな空気が
   辺りを包んでいました。
    上宮の裏から下り、『胎蔵界護摩場跡』から『五窟巡りコース』に。そそり立つ岩壁の下を進むルート
   は、これまた別世界。時折視界が開け、犬ヶ岳方面が見えるのもいい♪ そしてあの『銅版法華経』が
   納められていた普賢窟は、岩壁の窪んだ所に小さな祠がひっそりと祀られていました。山伏にとって
   修行の場だったという窟。ここで彼らは何を見て、何を感じていたのだろう。。。 山伏の面影を求めて
   何度でも足を運びたくなるような、求菩提山は不思議な魅力に溢れた山でした。

 

 

◆◇◆ 表参道〜五窟めぐりコース ◆◇◆
 

<スタート&ゴール:求菩提山麓の公共駐車場>

<求菩提山入口>

   天狗の足元にある『うさ、らか、ひこ、求菩』の文字はそれ
   ぞれ『宇佐神宮、羅漢寺(耶馬溪)、英彦山、求菩提山』
   を指す。これら全てにお参りしておくと極楽に行けるとか。
   駐車場から県道32号線を登っていくと赤い矢印が描か
   れた大きな看板があります。手前には水場があり、ポリ
   タンクに水を汲む人の姿も。


 

<構の石門>

<石仏>

   霊峰・求菩提山の結界は七重あり、こちらの構の石門は
   4番目の結界になるそうです。これより先は求菩提修験
   道の領域。
   修験の山らしく、道沿いにはたくさんの石仏が並んでい
   ます。厳かな雰囲気に、思わず姿勢を正したり・・・
 


 

<鬼石坊>

<座主坊園地>

   求菩提山には『鬼』と名の付くものが多いです。坊とは
   山伏の住居のこと。隙間無く詰まれた石垣は実に見事。
   車でここまで入れます。休憩所とトイレもあるので、ここを
   拠点に周遊するのもいいかも・・・♪


 

<安浄寺跡に続く参道>

<安浄寺跡(左手石垣の上)>

   左右に坊跡の石垣が残る幅広い参道。木々の香も濃
   濃で、清々しい気持ちになります。
   山伏の弔いの場だったそうで、たくさんの石仏が祀って
   あります。直接カメラに収めるのは憚られたので石垣だけ。


 

<豊照神社(毘沙門堂)>

<結界石(左のとんがり石)と獅子の口>

   安浄寺跡の隣にあるお社。北方の守護神・毘沙門天の
   像が祀られていましたが、現在は求菩提資料館に。
   その昔入山する者はここで手と口を清めていたとか。この
   日は残念ながら涸れていました。


 

     護国寺楼門に立つ東の大鳥居
  かつて仁王像を祀った楼門があったらしい。現在は鳥居畑から
  移築した東の大鳥居が建っています。苔むした石段がいい。

 
  鬼神社
   卜仙が犬ヶ岳に封じたという鬼を祀る神社。お社はその犬ヶ岳
    に向かって(南向きに)建っています。
 


 

    
     国玉神社中宮
      神仏分離令以前の護国寺。鬼神社から石段を上った所に
      西向きに建っています。
 
          鬼の磴(とう)
            中宮右横にある石段。鬼が一夜にして造ったという
            伝説があり、その数850余段とか。ふひー。


 

<国玉神社上宮>

<山頂標識>

   急勾配の石段を登り切ると山頂で上宮があります。平成
   3年の台風で拝殿が倒壊したため、現在は神殿のみ。
   背後には神が舞い降りるという巨石がゴロゴロしてます。
   聖域ということで遠慮したのでしょうか。神殿の足元に
   控えめな山頂標識があります。標高782m。周囲を木
   に囲まれ展望はありません。


 

     結界石
  上宮裏から胎蔵界護摩場跡に下る途中、高さ1m程の結界石が。
  求菩提山には構の石門等七重の結界の他にもあちこちに結界石が
  置かれているらしい。すごく厳重に守られた聖域なんですね。
 
  胎蔵界護摩場跡
   その昔護摩木を焚いていた場所。平らになっていてベンチがある。
 


 

     五窟めぐりの道
  胎蔵界護摩場跡から五窟めぐりコースへ。そそり立つ巨大な岸壁
  の下を進みます。時折右手に視界が開け、犬ガ岳の眺望が。
 
  五窟のひとつ・阿弥陀窟
   山伏にとって修行の場だった窟。5つの窟からは様々なものが
   見つかっていますが、うち普賢窟の銅版法華経33枚は国宝に
   指定され、九州国立博物館に収められています。
 


 

*今回のルート*

*求菩提山で見つかった仏像や道具など多くは求菩提資料館に収められています。

<求菩提山(福岡県豊前市/表参道〜五窟巡りコース)/2009年11月7日登頂>

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